Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lee 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 14.028 caracteres · 28 pantallas
軽く行って閉門、悪くすると腹切り。……こんなところにへたりこんでいる場合じゃありません。刻限はまだ六ツ半を少しまわったばかり。ことによったらまだ間にあうかもしれねえ。お城へおあがりにならぬうちに、さアさア少しも早く……」
藤波は、蒼白い頬に紅をはき、狂乱したような眼つきで立ちあがると、
「そうだ。こんなことをしちゃいられねえ。俺はいいが、……俺はいいが、……なんとかして、殿様を……」
囈言のように口走りながら、旋風のように駈け出した。
佐久間町の辻で三枚駕籠をやとい宙を飛んで数寄屋橋うちのお役宅へ乗りつけると、甲斐守はついさっき本丸へおあがりになったというところ。
もういけない。
藤波は、呟くような声でお帰りを待たしていただきたいと言って脇書院へ通る。お下城になった顔をひと眼見てここで腹を切る覚悟。
万感胸に迫って、むしろなんの感慨もないにひとしい。端座してしずかに庭のほうを眺めやると、築山の下に大きな白膠木のもみじがあって、風が吹くたびにヒラヒラと枯葉を飛ばす。さながら、自分の最期を見ているようである。
それからふた刻。……正午近いころになって、ただいまお下城になったというしらせ。