Clásicos japoneses con furigana
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くびをうしなったとんぼ
首を失った蜻蛉
佐左木 俊郎
Lee 首を失った蜻蛉 (くびをうしなったとんぼ) de 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 4704 caracteres · 10 pantallas
自分を欺かない意志だろう。生きるための唯一の路だろう……。
俺もこのまま就職口が見つからなかったら、屠殺場に行って豚殺しをやる気になるだろう……と彼は思った。だがそれは、蜘蛛が巣を張って蜻蛉や蛾や蝶を捕って食うのとは幾分趣を異にしている。丁度人間が網を張って魚を獲ったり鳥を捕ったり、鉄鉋で獣を撃ったりする様なものだと彼は考えた。それなら彼は大好きである。あの可愛らしい兎や鳩や、その他の動物を殺すことを少しも可哀想だとは思わなかった。それは人間の征服性の興味が、慈悲心を超越しているからであろう。だが職業として毎日多くの豚を屠ることは、可哀想だ惨酷だという気がして出来なかった。
未だ田舎にいた時分、彼は鉄鉋で兎を撃った事があった。そして兎の苦しむのをまのあたり熟視した。けれどもあまり可哀想だとは思わなかった。ただ無暗に嬉しく父母の前に飛んで来てそれを見せた。その時代の殺生は、可哀想だからと思えばそのまま止すことが出来たのだ。何等生活に不安があるのでも、職業的にそれをやるのでもなかった。道楽に過ぎなかった。併し今となっては、可哀想だと思っても惨酷だと思っても、自分が生きるために豚を屠ることを職業としなければならないかも知れぬ境遇となっていることを思うと、自分のことながらも哀れになる程の、三四年という短い間の自分