Clásicos japoneses con furigana
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さかなのじょぶん
魚の序文
林 芙美子
Lee 魚の序文 (さかなのじょぶん) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 10.384 caracteres · 21 pantallas
彼女はもう泣く事にも飽いたのか、五月の冷々とした畳の上にうつぶせになって、小さい赤蟻を一匹一匹指で追っては殺していた。
「ねエ、私、お裁縫の看板でも出したいけれど……」
「へえ、君に裁縫が出来るのかね」
「大した事は出来ないけれど、袴もかさねも習ったには習ったんだから……」
「だって君、習った事と商売とは違うよ――まア、待っているさ、毎日俺も街へ出掛けているんだから、何とか方法はあるだろう。――学校を出て、すぐ五六拾円にはなるだろうと思えばただ大学は出たもののだよ、そうだろう……」
「ええだけど、知った人に縫わしてもらったっていいでしょう……」
「知った人ッて皆貧乏じゃないか」
「森本ちぬ子さんはどうでしょうか。あの人は、とても羽振りのいい芸術家のところへお嫁にいらっしったッて云う事ですわ」
「馬鹿! 食えなかったら、食えないで仕方がないよ」
それより、僕は机に向って、何か就職の口はないかと遠い友人に手紙を書いた。今となって職業の好みもなく、また、田舎住いでも幸福だと云った意味を長々と展べて。彼女にも安心の行くように音読してさえ聞かせてやった。
「物事は当って砕けろさ。