Clásicos japoneses con furigana
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さかなのえさ
魚の餌
梅崎 春生
Lee 魚の餌 (さかなのえさ) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 4827 caracteres · 10 pantallas
しかしかれらは子供のくせに、矢鱈に魚釣りがうまかった。僕などにくらべて、いつも二倍か三倍も釣り上げてゆく。玄人級だ。身なりもよくないし、釣道具もお粗末なものだ。それでたくさん釣る。二人とも躯にくらべて頭が大きい。貧相な感じの子供だった。頭が似ているから、兄弟なのに違いない。上は数え年で十二か十三、小さい方は十歳ぐらいか。
それは七月頃だったかしら。その頃はメバルはすでに遠のいて、セイゴ、キスゴ、平あじ、ハゼなどの雑魚が来ていた。日によってはボラが群をなしてやってくる。よく釣れて餌が足りなくなることもある。僕の使う餌は大ていデコかゴカイ。デコやゴカイよりも岩虫のほうが適当だが、これはなかなか手に入らない。さらに防波堤のへりに付着する黒貝の肉、これが最上なのだが、これは常連がおおむね取り尽して、ほとんど見当らない。そこでゴカイ。
毎日毎日魚釣りをつづけている中に、初めはあまり気持良くなかったが、僕はしだいにゴカイという虫が好きになってきた。ゴカイというのは、形はムカデに似ていて、赤い色の虫だ。まったく見慣れると、ゴカイは女体のように艶めかしい。餌屋で買うゴカイが、粒がそろって生きがよければ、僕の心は躍る。