Clásicos japoneses con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lee 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 262.100 caracteres · 523 pantallas
が働いていたことにも気がつかなかった。
気味の悪い侍を見かけたのがきッかけで、無口になった五人の道者連は、それから二十丁ほどタッタと下ってきたが、やがて、甲賀路と宇治の岐れ道へきた時、
「では、皆様……」
と、虚無僧だけが、ふいに立ちどまって、
「私だけは、ここでお別れ申します」
「おや」と、四人は変な顔をして、
「虚無僧さん、あなたは甲賀へおいでになるので……?」
「はい」虚無僧は慇懃に、
「もとよりあてのある旅ではございませんが、最前、峠の上から甲賀の山を見ましてから、急にまいりたくなりましたので」
「そうですか――ですが、ここからまいりますと、木元、裏白なんていう、嶮しい山や峠ばかりで、いくら山好きでもあきあきしますぜ」
「ほかにちと思いだした用事もございますゆえ」
「そうですか、じゃせっかくお大事においでなさい」
「ありがとうぞんじます。今朝からご一緒になりまして、いろいろお世話になりました」
「なんの、遍路の者はお互いでございます。草鞋の代えや旅籠銭は大丈夫ですか」
「はい、用意しておりまする」
「お一人になったら、必ず、暮れないうちに宿をとることですよ。じゃ、お気をつけなすッて……」