Clásicos japoneses con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lee 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 262.100 caracteres · 523 pantallas
まアほんとにこうして……」
細々とした指と指を綾に組んで、前髪の蔭からじっと熱ッぽい流し眄を向けた。もっと人目のない所で、しみじみと話したいようなふうも溢れている。
「ではお米殿にも、あれから後に、間もなく大津より戻られたと見えますの」
「はい、叔父に厳しく叱られまして。気が進みませんけれど、こちらの先生へも通い始めました。私、ほんとにわがままなのでございますよ」
「ご病気であれば是非がない、近頃はどうでござります、少しはおよろしいか?」
「ええ……」と眸を納めて、お米の顔は急に暗くなった。心に悲哀やひるみが湧きでる時には、争われぬ病のかげが目くぼに漂いだしてくる。
「病さえなければ――」とお米は血に渦を巻かせて考える。
「私は必ずこの人を自分のものにしてみせるのだけれど!」
ほんとにそれだけの熱がある。男というものの体験がある。病さえなければ、お米の性格はもッと強く恋にぶつかって行くだろう。それを、己も知る癆咳といういまわしい病が邪魔をする時、お米は、その悪魔を飼っている自分の血と呪われた身を亡ぼしてやりたくなる。
床の間の薬筥に向って、真鍮の匙をにゅう鉢に鳴らしていた源内は、様子を振りかえって、