Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖

吉川 英治

Lee 鳴門秘帖 (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 56.957 caracteres · 114 pantallas

Aozora Bunko

それはひそやかに、後ろに廻っていたものの腰車を払って、遺憾なきまでに斬って抜け、左へ返すやいな、八相の落し。

剣風一陣、もう三名が血まつりの犠牲となった。

「わアーっ」

という鬨の声、期せずして、山をゆるがし、皓々たる刀林をどよませてきたのは、その途端だ。

血をみて発作的にふるいあがった声――獣性も人もけじめなきかを思わする兇暴なる挑戦の猛吼。

「それッ」

「相手はひとりだ!」

「鬼神ではあるまい! ひるむなッ」

二十余名の原士の姿、ここに黒々と明らさまなる影を描き、かつ躍り、坂の下段、坂の上方から、弦之丞ひとりを挟んでミリミリと鋭刃を詰めあった。

すでに、返り血の斑点を身に浴び、剣それ以外に何ものもない、無想境の神に入った弦之丞は、仆れ重なった三個の死体に片足を踏まえて、

「オッ。いざ来い!」

と無銘の皓刀、ふたたび、八相の天に振りかぶって、双眸らんらん、四面に構えた。

「むむッ」

「おおッ」

と取りかこむ数多の人数――ズ、ズ、ズ、ズ――と弦之丞の周りを巡って動いていたかと思うと、坂の上手の者六、七人、足場のいい地勢から、かこみをくずして乱剣の太刀風荒く、いちどにドッと斬りつける!