Clásicos japoneses con furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lee 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) de 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 127.675 caracteres · 254 pantallas
亀井家は元和三年に津和野に封ぜられてから十二代になり、森は慶安から天保年間までで十一代になりました。祖父はもと佐々田綱浄といった人で、若い頃は江戸、大阪、長崎と、諸国を遍歴しました。天保二年に逝いた森秀庵の養子になった頃は、年がもう四十位でした。通称は始め玄仙といったのを、後に白仙と改めました。亀井家では奥附という勤めでした。この祖父が十二世なのです。
祖父は性質が謹厳でしたが、同時に放胆な一面もあったそうで、趣味も広かったので、蔵書には医書の外に歌集、詩集、俳書などもあったのです。その中に橘守部の『心の種』があったといって、後年長兄が私に下さいました。漢文も達者に書かれたらしいのですが、詩は一つもないそうです。歌は好まれたと見えて、始めて江戸へ出る時に富士山を見て、
おもひきやさしも名高き富士の根の
麓を雲の上に見んとは
と詠んでいられます。それを後に福羽美静翁が半折に書いて、自ら讃歌を添えて贈られたのが、懸物になって残っていました。俳諧は大阪にいた頃点取ということを人から勧められたけれど、宗匠の人物に不服だったのと、無学の人にも叶わなかったりするので廃めたのだそうです。