Clásicos japoneses con furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lee 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) de 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 127.675 caracteres · 254 pantallas
かれこれする内に月も変りました。
その頃の主人の日記に、「今日は模様宜し」とか、「今日はむつかし」などと書いてありますのは、エリスとのことでしょう。前にもいったように、北海道で発掘した人骨を詰めた荷物がつぎつぎと著きますので、それらは決して人任せにはせられません。どんな破片でも大切なのですから。但しそれで忙しいのは楽しみらしいのですが、今度のことは、私としては、兄のためというばかりでなく、父母のためにも、いいかえれば家の名誉のためにも尽力してもらいたいと思うのですから、主人の日々の食事にも気を附け、そろそろ寒くなるにつけて、夜は暖かにしてなどと気を配ります。もともと主人は洋行中から名代の病人だったので、ただ養生一つで持ちこたえていたのでした。私が小金井へ来ました時、「よく評判の病人のところへよこしたなあ」と笑ったくらいです。今度のことは、すらすら運ぶ用事とは違いますから、主人も千住へ行くと、夜更けに車で送ってもらうのです。用談も手間取りますが、そうした中でも未開な北海道の旅行中に幾度も落馬したこと、アイヌ小屋で蚤袋という大きな袋に這入って寝て睡りかねたこと、前日乗った馬が綱を切って逃げたために、土人と共に遠路をとぼとぼ歩いたことなどを話して、心配中の人々を暫時でも笑わせなどしました。