Clásicos japoneses con furigana
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さとう
麻布襍記 ――附・自選荷風百句
永井 荷風
Lee 麻布襍記 ――附・自選荷風百句 (さとう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 37.256 caracteres · 77 pantallas
目のさめたような気がした。
米騒動の噂は珍らしからぬ政党の教唆によったもののような気がしてならなかったが、洋装した職工の団体の静に練り行く姿には動しがたい時代の力と生活の悲哀とが現われていたように思われた。わたしは既に一昔も前久し振に故郷の天地を見た頃考えるともなく考えたいろいろな問題をば、ここに再び思い出すともなく思い出すようになった。目に見る現実の事象は此年月耽りに耽った江戸回顧の夢から遂にわたしを呼覚す時が来たのであろうか。もし然りとすればわたしは自らその不幸なるを嘆じなければならぬ。
花火は頻に上っている。わたしは刷毛を下に置いて煙草を一服しながら外を見た。夏の日は曇りながら午のままに明るい。梅雨晴の静な午後と秋の末の薄く曇った夕方ほど物思うによい時はあるまい……。
大正八年七月稿