Clásicos japoneses con furigana
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さとう
麻布襍記 ――附・自選荷風百句
永井 荷風
Lee 麻布襍記 ――附・自選荷風百句 (さとう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 37.256 caracteres · 77 pantallas
ソルボンの大時計の沈んだ音。またリヨンの下宿に朝な朝な耳にしたロオン河の水の音。これ等はすべて泡立つショコラの暖い煙につれて、今も尚ありありと思出されるものを。医師の警告は今や飲食に関する凡ての快楽と追想とを奪い去った。口に甘きものは和洋の別なくわたしの身には全く無用のものとなった。
たしかリュキザンブルの画廊だと覚えている。クロードモネーが名画の中に食事の佳人は既に去って花壇に近き木蔭の食卓には空しき盞と菓子果物を盛った鉢との置きすてられたさまを描いたものがあった。突然わたしが此の油画を思い起したのは木の葉を縫う夏の日光の真白き卓布の面に落ちかかる色彩の妙味の為めではない。この製作に現われた如き幸福平和にして然も詩趣に富んだ生活に対する羨望と実感との為である。
父の世に在った頃大久保の家には大きな紫檀の卓子の上に折々支那の饅頭や果物が青磁の鉢や籐編みの籃に盛られてあった。わたしはこれをば室内の光景扁額書幅の題詩などと見くらべて屡文人画の様式と精神とを賞美した。
浮世絵を好む人は斎や北斎等の描ける摺物に江戸特種の菓子野菜果実等の好画図あるを知っているであろう。