Clásicos japoneses con furigana
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くろいてちょう
黒い手帳
久生 十蘭
Lee 黒い手帳 (くろいてちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 19.026 caracteres · 38 pantallas
おれはねこの十年の間ルウレットの研究をしていた。屑箱の中の屑のようなものを喰って、寝る目も寝ずに計算ばかりしてたんだ。いったい丁半に法則がないというのが定説だ。早い話がポアンカレとかブルヌイユなんていうソルボンヌの大数学者が精密な計算を例にひいて証明している。たとえば奇偶の遊びで、いま出た目とそのあとの目というものはそのたびに永久に新規だという。これがかれらの学説なんだ。よろしい……ところがわれわれは千回骸子を振るといつも半々位の割合で奇偶が出ることをしっている。もし目がいつも新しいものなら、もし奇偶に法則がないものなら、なぜ奇数ばかり、あるいは偶数許り千回つづけて出るような出鱈目なことがないのだろう。それは不可能じゃない、と数学者はいうだろう。それア不可能じゃない」といいながら壁に書きつけた公式を指さした。「君はどういう研究を専門にやっているひとなのだね? あの公式の意味がわかるひとなのかね?」
壁の上にはこんな公式があった。
公式
めんどうくさくなったので、判らぬとこたえた。
「この公式はナ、たとえばルウレットの赤・黒の遊びで、赤だけがつづけて百回出るようなことは、一世紀にたった一回しかないということを証明しているのだ。