Clásicos japoneses con furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lee 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 296.741 caracteres · 584 pantallas
勿論、その屍体がディグスビイであるということは、着衣名刺その他の所持品によって、疑うべくもないのだった。
次に熊城の部下は、久我鎮子の身分に関する報告をもたらした。それによると、彼女は医学博士八木沢節斎の長女で、有名な光蘚の研究者久我錠二郎に嫁ぎ、夫とは大正二年六月に死別している。勿論鎮子をその調査にまで導いていったものは、いつぞや法水が彼女の心像を発いて、算哲の心臓異変を知ることの出来た心理分析にあったのだ。また鎮子がそればかりでなく、早期埋葬防止装置の所在までも算哲から明かされているとすれば、当然両者の関係に、主従の墻を越えた異様なものがあるように思われたからである。しかし、八木沢という旧姓に眼が触れると、突然法水は異様な呼吸を始め、惑乱したような表情になった。そして、その報告書を掴むや、物も云わずに広間を出て、その足でつかつか図書室の中に入って行った。
図書室の中には、アカンサス形をした台のある燭台が、ポツリと一つ点されているのみで、その暗鬱な雰囲気は、著作をする時の鎮子の習慣であるらしかった。しかし彼女は、いっこう何の感覚もなさそうに、凝っと入って来た法水を瞶めている。