Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Lee 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 296.741 caracteres · 584 pantallas

Aozora Bunko

と鎮子は皮肉に云って、

「ダンネベルグ様は、そういう悪気のようなものから、なんとかして遁れたいと、どれほど心をお砕きになったか判りません。そして、その結果があの方の御指導で、昨夜の神意審問の会となって現われたのでございます」

「神意審問とは?」検事には鎮子の黒ずくめの和装が、ぐいと迫ったように感ぜられた。

「算哲様は、異様なものを残して置きました。マックレンブルグ魔法の一つとかで、絞死体の手首を酢漬けにしたものを乾燥した――栄光の手の一本一本の指の上に、これも絞死罪人の脂肪から作った、死体蝋燭を立てるのです。そして、それに火を点じますと、邪心のある者は身体が竦んで心気を失ってしまうとか申すそうでございます。で、その会が始まったのは、昨夜の正九時。列席者は当主旗太郎様のほかに四人の方々と、それに、私と紙谷伸子さんとでございました。もっとも、押鐘の奥様(津多子)がしばらく御逗留でしたけれども、昨日は早朝お帰りになりましたので」

「そして、その光は誰を射抜きましたか」

「それが、当の御自身ダンネベルグ様でございました」と鎮子は、低く声を落して慄わせた。「あのまたとない光は、昼の光でもなければ夜の光でもございません。