Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Lee あらくれ de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 119.451 caracteres · 236 pantallas

Aozora Bunko

それらの人を犒うために、台所で酒の下物の支度などをしていた母親と、姉は暫く水口のところで立話をしてから、お島のところへ戻って来たのであった。

「島ちゃん、お前さん今のうちちょっと顔をだしといた方がいいよ」

一日痛い頭脳をかかえて奥で寝転んでいたお島の傍へ来て、姉は説勧めた。

お島は何だか胸がむしゃくしゃしていた。今夜にも旅費を拵えて、田舎の方にいる兄のところへ遠っ走りをしようかとも考えていた。どこか船で渡るような遠い外国へ往って、労働者の群へでも身を投じようかなどと、棄鉢な空想に耽ったりした。夜明方まで作と闘った体の節々が、所々痛みをおぼえるほどであった。

姉婿も同じようなことを言って、お島に意見を加えた。お島はくどくどしいそれ等の忠告が、耳にも入らなかったが、何時まで頑張ってもいられなかった。

「ふん、御父さんや御母さんに、私のことなんか解るものですか。彼奴等は寄ってたかって私を好いようにしようと思っているんだ」お島はぷりぷりして呟きながら出ていった。

外はもうとっぷり暮れて、立昇った深い水蒸気のなかに、山の手線の電燈や、人家の灯影が水々して見えた。