Clásicos japoneses con furigana
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おさん
おさん
山本 周五郎
Lee おさん de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 33.128 caracteres · 66 pantallas
「話すようなことはないが、子供はないし、かみさんだって、――」
「どうなの、ねえ」とおふさはからかうような眼をした、「きれいじゃないっていうの」
「病人のある家へいって寺の話をするなって云うぜ」
「なにが寺の話よ」
「なんでもないさ、めしにしよう」
「怒らしちゃったかしら、気に障ったらあやまるわ、ごめんなさい」おふさはちょっと頭をさげた、「あたしどうかしちゃったみたいよ、自分で諄いことが嫌いなのに、こんなに諄いことばかり云うなんてわけがわからないわ」
「酔ったせいだろう、めしにしないか」
おふさは右手を畳へ突いた。膝の上にあった手の右のほうだけ、すべるように畳へ突き、俯向いて口をつぐんだ。急に酔が出たのだろう、参太が呼びかけようとすると、おふさはすばやく立ってゆき、廊下へ出て障子を閉めると、小走りに去る足音が聞えた。――参太はおふさのいなくなった膳の向うを、気ぬけのしたような眼でぼんやりと見まもった。行燈の灯がまたたき、膳の上にある食器の影が動いた。波の音が際立って高く、一人っきりになった座敷の、しんとした空気をふるわせるように響いて来た。
「女があり男がある」