Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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おじさんのはなし

おじさんの話

小山 清

Lee おじさんの話 (おじさんのはなし) de 小山 清 (こやまきよし) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 21.232 caracteres · 42 pantallas

Aozora Bunko

着物に着かえ、わずかに残っている頭髪に湿りをくれて櫛でなでつけ、几帳面に帽子を被って出かけていくおじさんの姿は、いかにもいそいそとしていて、まるで堅気の勤人のように見えた。配達から帰ってきて、出かけるばかりのおじさんとぶつかり、「御出勤かね。」と云うと、おじさんは「うん。」とも云わずに、真面目くさった顔つきをして、草履を突っかけて出ていく。往きはおじさんは徒歩でいく。朝の新鮮な空気のなかを、竜泉寺町から千束町に出て、浅草の観音さまの境内を抜けていくのである。これはおじさんの日課の散歩のようなものである。

「いい運動になるよ。体にいいんだよ。」

とおじさんは云う。おじさんが達者なのは、ひとつはこの毎朝の規則立った運動のせいであろう。かえりはおじさんも電車に乗ってくる。その頃、ちょうど三の輪から水天宮行の電車が出ていたので、便利であった。昼まえ、南千住の「浜の家」という弁当屋が私達の昼飯を届けてくれる頃には、おじさんは店に帰ってきていた。朝刊配達後眠りを貪った私達も、その時分になると、ぼつぼつ起き出しはじめるのである。

或る日のこと、おじさんがなかなか帰って来なかった。