Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

おせん

おせん

邦枝 完二

Lee おせん de 邦枝 完二 (くにえだかんじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 74.074 caracteres · 148 pantallas

Aozora Bunko

「ほほほほ、そんならあたしゃ、垂をおろしてもらいますよ」

「飛んでもねえ。駕籠に乗る人かつぐ人、行く先ァお客のままだが、かついでるうちァ、こっちのままでげすぜ。――それ竹、なるたけ往来の人達に目立つように、腰をひねって歩きねえ」

「おっと、御念には及ばねえ。お上が許しておくんなさりゃァ、棒鼻へ、笠森おせん御用駕籠とでも、札を建てて行きてえくらいだ」

いうまでもなく、祝儀や酒手の多寡ではなかった。当時江戸女の人気を一人で背負ってるような、笠森おせんを乗せた嬉しさは、駕籠屋仲間の誉れでもあろう。竹も仙蔵も、金の延棒を乗せたよりも腹は得意で一ぱいになっていた。

「こう見や。あすこへ行くなァおせんだぜ」

「おせんだ」

「そうよ。人違えのはずはねえ。靨が立派な証拠だて」

「おッと違えねえ。向うへ廻って見ざァならねえ」

帳場へ急ぐ大工であろう。最初に見つけた誇りから、二人が一緒に、駕籠の向うへかけ寄った。

四

「風流絵暦所鈴木春信」

水くきのあとも細々と、流したように書きつらねた木目の浮いた看板に、片枝折の竹も朽ちた屋根から柴垣へかけて、葡萄の蔓が伸び放題の姿を、三尺ばかりの流れに映した風雅なひと構え、お城の松も影を曳きそうな、日本橋から北へ僅に十丁の江戸のまん中に、かくも鄙びた住居があろうかと、道往く人のささやき交す白壁