Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
おせいとうじょう
お勢登場
江戸川 乱歩
Lee お勢登場 (おせいとうじょう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 11.784 caracteres · 24 pantallas
おお、そこには一体何があったのであるか。
それは影の様におぼろげに、狂者の筆の様にたどたどしいものではあったけれど、よく見れば、無数の掻き傷の上を覆って、一字は大きく、一字は小さく、あるものは斜めに、あるものはやっと判読出来る程の歪み方でまざまざと、「オセイ」の三文字が現れているのであった。
「姉さんのことですね」
格二郎は凝視の目を、そのままおせいに向けて、低い声で云った。
「そうですわね」
ああ、このように冷静な言葉が、その際のおせいの口をついて出たことは、何と驚くべき事実であったか。無論、彼女がその文字の意味を知らぬ筈はないのだ。瀕死の格太郎が、命の限りを尽して、やっと書くことの出来た、おせいに対する呪いの言葉、最後の「イ」に至って、その一線を劃すると同時に悶死をとげた彼の妄執、彼はそれに続けて、おせいこそ下手人である旨を、如何程か書き度かったであろうに、不幸そのものの如き格太郎は、それさえ得せずして、千秋の遺恨を抱いて、ほし固って了ったのである。
併し、格二郎にしては、彼自身善人である丈に、そこまで疑念を抱くことは出来なかった。単なる「オセイ」