Clásicos japoneses con furigana
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そのきどをとおって
その木戸を通って
山本 周五郎
Lee その木戸を通って (そのきどをとおって) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 22.448 caracteres · 44 pantallas
そしてわかったことは、正四郎が登城している留守に、田原が訪ねて来てふさに会い、初対面ですっかり気にいったのだという。そのときの口ぶりでは、ともえとの縁組には初めから反対で、城代家老の女婿になるなどとはつまらぬやつだ、ともらしたそうであった。正四郎はそれを聞いて唸った。
「それでは、あのとき怒ったのは体裁をつくるためだったのか」と彼は云った、「――いやなじじいだな」
いやなじじいなどとは云ったが、ここでもふさが人に好かれるということを慥かめて、彼は少なからず気をよくし、田原が訪ねて来るとできる限り歓待した。
年があけるとすぐ、吉塚の妻がふさの懐妊したことを告げた。彼はしめたと思った。これでまた父によろこんでもらえるぞ、――そう思っていたとき、それまでの幸福な生活に、初めて不吉な影がさした。正月下旬の或る夜半、寝所の襖があいたので眼をさますと、寝衣姿でふさがはいって来た。妻のほうからおとずれるという例はなかったので、「どうかしたか」と彼は呼びかけた。ふさはその声が聞えなかったらしく、黙って戸納のところへゆき、その前で立停った。
「ふさ」と彼はまた云った、「どうかしたのか」