Clásicos japoneses con furigana
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つゆのあとさき
つゆのあとさき
永井 荷風
Lee つゆのあとさき de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 74.725 caracteres · 148 pantallas
」
「辰巳家の辰千代さん。」と若い芸者が名ざしをしたので、女中はすぐさま立ちかけた時、下から、「お花さん。お客様がお見えになりました。」
「先生だろう。」と駒田は襖の方を見返りながら、少し席を譲る間もなく、梯子段に跫音がして、パナマ帽を片手に、鼠セルの二重廻を着たまま上って来たのは、清岡進である。
「おそくなって失礼しました。」と進は年増の芸者に帽子と二重廻を渡し、お召の一重物に重ねた鉄無地一重羽織の紐を結直しながら、卓の上に小皿と箸の置いてある空席に坐る。年輩の記者は既に知り合っていると見え、若い記者を紹介したので、直様茶ぶ台の上で名刺の交換が始まった。女中が芸者の返事と共に銚子を持って来て、
「辰千代さん。すぐ伺います。」
「ほんとに皆さん、あがらないのね。」と年増が新しい銚子を受取って、「あなた。お一ツ。」
「一向景気がつかないようだね。」と清岡は酌をさせながら、駒田を顧み、「まだ後から来るのか。」
「目下大に選定中なんですよ。まだ外に知らないか。女給芸者がいるから、ダンサー上りや女優上りもいるだろう。どうせ、呼ぶなら変ったのがいい。」
「こちら、ほんとに物好きねえ。