Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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つゆのあとさき

つゆのあとさき

永井 荷風

Lee つゆのあとさき de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 74.725 caracteres · 148 pantallas

Aozora Bunko

角の酒屋と薬屋の店についている電燈が、通る人の顔も見分けられるほど隈なく狭い横町を照している。清岡は去年から丁度一年ほど、四、五日目にはここを通るので、店のものにも必顔を見知られているにちがいないと、俄に眉深く帽子の鍔を引下げ、急いで通り過ると、その先の駄菓子屋と煙草屋の店もまだ戸をしめずにいたが、ここは電燈も薄暗く店先には人もいない。路地の入口の肴屋はもう表の戸を閉めているので、ちょっと前後を見廻し、暗い路地へ進入ろうとすると、その途端にばったり行き会ったのは間貸しの家の老婆である。闇にまぎれて知らぬ振りで行き過ぎようとしたが、老婆は目ざとく、「アラ旦那。」と呼びかけ、「一歩ちがいで、まア能う御在ました。不用心ですから鍵をかけて、お湯へ行こうと思ったんですよ。お君さんも今夜はお早いんですか。」

「イヤちょっと市ヶ谷まで用事があったから、寄って見たんだよ。帰って来るまで、とても待ってはいられないから、今夜寄ったことは黙っていておくれ。また心配するからなア。」

「じゃ、お茶一ツ上っていらっしゃいまし。」

「でも、おばさん、お湯へ行くんだろう。」

「ナニ、あなた。