Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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とむらいきかんしゃ

とむらい機関車

大阪 圭吉

Lee とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) de 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 186.729 caracteres · 371 pantallas

Aozora Bunko

いままでは、まるで家庭など眼中になく、勝手放題に振舞っていた強がり屋の安吉が、どんな恐ろしい目に合ったのか、突然帰って来ると妻子を連れて逃げ出そうと云う。そこには、よくよくの事情があるに違いない。沈没船から生帰って来たと云うだけでも、それはもう大きな秘密だ。――考えるにつれて、女には夫の立場が異様に切迫したものに思われて来て、身の廻りの品を纏めると、そのままそそくさと霧の波止場へ急いだ。

歩きながらも、安吉を包む秘密への不審と不安は、追々高まって、安吉の云った「とてつもない恐ろしい陰謀」が影もなく浮上ったかと思うと、丸辰の「鯨の祟り」が思い出されたりして、それらが一緒になって、今度は今のままの安吉の体へ、直接の不安を覚えるようになって来た。

しかし、その不安は、全く適中していた。恰度その頃鰊倉庫の横丁では、とり返しのつかない恐ろしい惨劇が持上っていたのだ。

酒場の前を避けるようにして、霧次伝いにさっきの場所まで引返して来た女は、そこの街燈に照された薄暗の中で、倉庫の板壁へ宮守のようにへばりついたまま、血にまみれた安吉の無残な姿をみつけたのだった。