Clásicos japoneses con furigana
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へちまのき
へちまの木
山本 周五郎
Lee へちまの木 (へちまのき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 29.120 caracteres · 58 pantallas
「とにかくとんびへゆこう」房二郎は店の番傘を取って云った、「話はとんびへいってからにするよ」
とんびの店はあいていなかった。二人はまた小網町の「沢茂」へいった。そこは船頭や荷揚げの親方などが寄るので、早くから店をあけているのであった。
「人間てな面白いもんだな」話を聞いてから、木内が笑って首を振りながら云った、「あの女狐は七日ばかりまえに、桜水の若ぞうと浮気をしやあがった、記事だねを持って来たとき、ちょび髭がいなかったんで、そのまま逢曳き宿へしけ込んだのさ」
「逢曳き宿なんて、初めて聞くな」
「この裏に幾らもあるさ、江戸じゅうどこへいったって不自由なしさ」と云って酒を啜りながら、木内は顔をくしゃくしゃにして、皮肉に笑った、「おまえさんは千石の旗本育ちだからわかるまいがね」
「ちょび髭はそれを知らないのかい」
「知ってるさ」と木内は云った、「まえにも云った筈だが、夫婦となれば、そぶりだけだってそんなことに勘づかねえわけがねえ、ちょび髭はちゃんと知ってるんだ」
「それなら今日なんぞ、どうしてやり返してやらないんだ」
「金だよ、房やん」木内はそのよく動く眼をぎろっとさせた、「ちょび髭は女狐の持ってる金を覘ってるし、女狐はそれをよく知ってる、つまりお互いに化かしあいをやってるってところさ」