Clásicos japoneses con furigana
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ゆずのはなし
ゆずの話
小川 未明
Lee ゆずの話 (ゆずのはなし) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonés con furigana. JLPT N3. Toca una palabra para ver el significado.
N3 · intermedio · kanji y kana modernos · 1947 caracteres · 4 pantallas
「僕、このゆずがほしいな。」と、年雄くんはいいました。
「それは、たべられないのだよ。」と、兄さんが、いいました。
「おいしくないの?」
「ああ、すっぱくて、たべられないのだ。」
兄さんは、そう返事をして、うしろを向いて、おもちゃの汽車を走らせていました。
「ポオー、うえの、うえの、ポオー、あかばね、あかばね――。」
そのうちに、汽車はひっくりかえりました。
「年ちゃん、汽車がてんぷくしたよ、たいへんだからきておくれよ。」と、兄さんは、弟の年雄くんを呼びました。けれど、返事がありません。遊びに気を取られて、弟がなにをしているかも知らなかった兄さんは、はじめて弟の方に目を向けたのでした。そして、なにを発見したでしょうか。
「あっ!」と、兄さんは、その瞬間おどろきの目をみはったのです。
「年ちゃん、ゆずをもいでしまったのかい?」
兄さんは、弟が、ゆずを持って、うれしそうにながめているのを見ると、そばへ走ってきました。
「たいへんなことをした。お父さんにしかられるよ。」と、兄さんはいいました。
こう、いわれると、さすがに、年雄くんの顔にはいままでの明るい、うれしそうな色は失せてしまって、急に悲しそうな、泣き出しそうな顔つきとなりました。