Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ろまんどうろう

ろまん灯籠

太宰 治

Lee ろまん灯籠 (ろまんどうろう) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 37.222 caracteres · 74 pantallas

Aozora Bunko

ひどく、はっきりした人なのである。ばからしい、と言っている。この祖母は、末弟を目にいれても痛くないほど可愛がっている。末弟が一時、催眠術の研究をはじめて、祖父、母、兄たち姉たち、みんなにその術をかけてみても誰も一向にかからない。みんな、きょろきょろしている。大笑いになった。末弟ひとり泣きべそかいて、汗を流し、最後に祖母へかけてみたら、たちまちにかかった。祖母は椅子に腰かけて、こくりこくりと眠りはじめ、術者のおごそかな問いに、無心に答えるのである。

「おばあさん、花が見えるでしょう?」

「ああ、綺麗だね。」

「なんの花ですか?」

「れんげだよ。」

「おばあさん、一ばん好きなものは何ですか?」

「おまえだよ。」

術者は、少し興覚めた。

「おまえというのは、誰ですか?」

「和夫(末弟の名)じゃないか。」

傍で拝見していた家族のものが、どっと笑い出したので、祖母は覚醒した。それでも、まず、術者の面目は、保ち得たのである。とにかく祖母だけは、術にかかったのだから。でも、あとで真面目な長兄が、おばあさん、本当にかかったのですか、とこっそり心配そうに尋ねたとき、祖母は、ふんと笑って、かかるものかね、と呟いた。