Clásicos japoneses con furigana
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カンカンむしさつじんじけん
カンカン虫殺人事件
大阪 圭吉
Lee カンカン虫殺人事件 (カンカンむしさつじんじけん) de 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 10.237 caracteres · 21 pantallas
十分程すると、私達の立っている処より少しく左に寄って、第二号船渠の扉船から三米程隔った海上へ、夥しい泡が真黒な泥水と一緒に浮び上って来た。
この時、私達の耳元で、恐しい野獣の様な唸り声が聞えた。振り向くと、矢島五郎が、鼻の頭をびっしょりと汗で濡らし、真っ青になりながら唇を噛み締めて地団駄踏んでいる。喬介は微笑みながら再び海上へ眼を遣った。五分程すると、梯子の下へ潜水夫が戻って来た。見ると、原田喜三郎と同じ様に、両腕を後手に縛りあげられた屍体を、背中に背負っている。
『あッ! 源さんだ。』
今までポンプを押していた職工の一人が、突飛もない声で叫んだ。矢島は、ガックリと顔を伏せてその場へ坐り込んで了った。
源之助の屍体には、喜三郎の屍体に見られた様な打撲傷や擦り傷はなかった。只、心臓の上に、同じ様な刺傷があるだけだ。
『古い鉄の歯車の大きな奴を重にしてありましたよ。迚も持って来れませんので、途中で綱を切って了ったんです。そう言えば、もう一本中途でむしり取った様に切れた綱が重に着いていましたが、あれに喜三郎さんの屍体が縛り付けてあったんでしょうなあ――』
仕事を終った潜水夫は、そう言って大きく息を吸い込だ。