Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lee ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 13.682 caracteres · 27 pantallas
残った部分がこう少なくては保険会社でも弁済の法がつくまい。桑原、桑原」というとタヌは眉をひそめて、
「でも爪の伸びた足の指なんて不潔ね。あたしなら、そうね、うす桃色の耳かなんか残してやるつもりよ。……それはそうと、あっちにずいぶん人だかりがしてるけど、……」
コン吉がその方を見ると、町役所の土壇に持ち出された大眺望鏡を十重二十重に取り囲んだ群集が、いずれも殺気だった面持で虚空をみつめているので、日ごろ物見高いコン吉はたちまち活況を呈してそっちへ駆け寄り、そばの肥満紳士に、
「戦争ですか。飛行機ですか」と、あわただしくたずねると、紳士は唇に指を立て、
「しっ! 緑の光峰の氷壁で三人の男が落ちかかって綱一本でぶらさがってるのです」
「うわア! これは大変」とコン吉が、人垣を押し分けて円陣の中心をのぞくと、C・A・Fの徽章をつけた男が、眺望鏡に目を押しあてて、一心に空をみつめながら、金切り声で、不幸な一行の動静を披露している。
「あ、落ちます、落ちます。……先登の山案内は必死に岩鼻にしがみついていますが、もう三人を支える力がない……。最後の奴はしきりに足場を刻もうとしていますが、斧は壁へ届きません。