Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
プウルのかたわらで
プウルの傍で
Lee プウルの傍で (プウルのかたわらで) de Nakajima Atsushi (中島 敦) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 16.843 caracteres · 34 pantallas
遠くで鐘の音が響いた。寄宿舎の夕食の鐘にしては少し早すぎるようであった。空には先刻の黄色い小さな雲が見えなくなっていた。蜻蛉がすいと、彼のすぐ顔の上を掠めて行った。
三造の記憶の中で、一昨日通った奉天と、八年も前に、彼がこの中学校の生徒だった時分、修学旅行に行ったときの奉天とが混じり合っていた。駅の食堂で、黄色い袈裟を着た日本の老いた坊さんが、剃りたての真蒼な頭をした小僧をつれて、巧みにナイフとフォオクを操りながらビフテキを喰べていた。それは一昨日のことであったか。それとも八年前の記憶であるか。それを考えるのさえ、彼には今はものうかった。彼は眼を瞑り、先程まで、水際のアカシアの葉を洩れて、うすく落ちていた夕方の日影が、この時、ほっと消えて、あたりが急に、うすら青い影にはいったのを、閉じた眼蓋の裏から、ぼんやり感じながら、水に浮んでいた。
その修学旅行は、中学生の彼等にとって、かなりな小遣いを持たせられて、家から離れて自由に振舞うことの出来た殆ど最初の機会であった。彼等は興奮し、はしゃいでいた。旅行のさきざきには、彼等にくらべて見て、ほんの僅かの自分達の優越を、彼等に対して、常に示したがっている先輩達がいた。