Clásicos japoneses con furigana
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ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Lee ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) de 永井 隆 (ながいたかし) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 107.351 caracteres · 213 pantallas
神官が近ごろ急に弱まって来たことに氏子たちは気づいたが、多分ご時世のせいだろうと思った。神国日本大勝利を単純に信じこんで朝々早くどうを打ち鳴らし祈願を続けて来たのに、待望の神風が吹くどころか敗戦と同時に高天原はおとぎばなしの本性をあばかれ、皇室の横に座っていた神々は突き落とされ、おまけに神社に対する寄付を隣組で集めてはまかりならぬとのきついお達しを受けては、神官たるものの影もうすくならざるを得まい。敗戦の犠牲者は多いが神官はその中でも特別ひどい目にあったほうだろう。なぜと言ったって先祖代々自らも信じ村民にも信じさせていたご神体がなんら神通力をもたぬ物体に過ぎなかったことを証明されたのだから、拙者は間抜け者でござったと顔に書かれたようなもので、これでは村道もまぶしくて歩けない。精神的打撃にも増して経済的打撃はひどかった。これまではお上から年々お金ももらい、経費万端村から出してくれたので、質素ではあったが威厳を保ち得たけれど、これからは自力で食ってゆかねばならぬ。宗教としての温泉神社ははたして経営が成り立つものだろうか? あるいは職業を変えねばならぬかもしれぬが、こんな時にこそ相談相手になってくれる一人息子はビルマへ攻めて行ったきり便りも来なかった……。