Clásicos japoneses con furigana
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さんじゅうねんごのせかい
三十年後の世界
海野 十三
Lee 三十年後の世界 (さんじゅうねんごのせかい) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 68.140 caracteres · 137 pantallas
キンちゃんの声が大きかったので、池の水面から顔を出していた奇妙な魚がびっくりして、どぶんと波紋をのこして沈んでしまったのだ。
その話を、正吉は、そばへ来たキンちゃんに話してやった。
「ええッ、大きな魚だって、そいつはめずらしいから、つりあげていって、焼くか煮るかして食ぜんへ出してみたい」
キンちゃんは料理人だから、すぐそんなことを考える。しかし正吉はいった。
「ぼくはその魚料理はたべないよ」
「なぜだね」
「だって、気持のわるいほど大きくて、いやにこっちをぎょろぎょろ見る魚なんだもの。あんな魚の肉をたべると、きっと毒にあたるかもしれない」
「ははあ、毒魚だというのだね。よろしい。毒魚か毒魚でないかはこのキンちゃんが一目見りゃ、ちゃんとあててしまうんだ。こんど出て来たら、すぐあっしに知らせるんだよ」
「しいッ。また、水面から顔を出すようだ」
しずかだった水面に、今はあちこちに、小さな波紋が見えている。いや、それは波紋ではなく、あの奇妙な魚が水面に自分の目を出して、岸にいる正吉たちの様子をうかがっているのだと分かった。
「しずかにしているんだよ。怪物どもがすっかり姿をあらわして、図々しくなるまで、ぼくたちは石の像のようにしずかにしているんだよ」