Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
Lee 三浦老人昔話 (みうらろうじんむかしばなし) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 113.637 caracteres · 224 pantallas
「お帰りなさいまし。」
くゞり戸を推して這入る音をきくと、お幾はすぐに傘をさして迎いに出て来て、主人の手から重いびくをうけ取って水口の方へ持って行く。阿部さんも簑笠でぐっしょり濡れていますから、これも一緒に水口へまわると、お幾は蝋燭をつけて来て、大きい盥に水を汲み込んで、びくの魚を移していたが、やがて小声で「おやっ」と云いました。
「旦那さま。どうしたのでございましょう。びくのなかにこんなものが……。」
手にとって見せたのは黄楊の櫛なので、阿部さんも思わず口のうちで「おやっ」と云いました。それはたしかに例の櫛です。三度目にも川のなかへ抛り込んで来た筈だのに、どうしてそれが又自分のびくのなかに這入って来たのか。それとも同じような櫛が幾枚も落ちていて、何かのはずみでびくのなかに紛れ込んだのかも知れないと思ったので、阿部さんは別にくわしいことも云いませんでした。
「そんなものが何うして這入ったのかな。掃溜へでも持って行って捨てゝしまえ。」
「はい。」
とは云ったが、お幾は蝋燭のあかりでその櫛をながめていました。そうして、なんと思ったか、これを自分にくれと云いました。