Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ふざいじぬし

不在地主

小林 多喜二

Lee 不在地主 (ふざいじぬし) de 小林 多喜二 (こばやしたきじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 69.990 caracteres · 141 pantallas

Aozora Bunko

小作達は思い、思いに腰をかがめて挨拶した。

「ハ、まア、よオく御無事様で……」

佐々爺は手拭で顔をゴシゴシこすりながら、何べんも頭を下げた。もう身体中酒でプンプン匂っていた。人集りに出るときは、佐々爺は何時でも酒をやらないと、ものが云えない癖があった。

「お前達も達者で何よりだ。――ま、一生ケン命やってくれ。」

皆は一言、一言に小腰をかがめた。佐々爺は、小さい赭ら顔を握り拳のようにクシャ、クシャにしながら追従笑いをした。

「本当に、ご苦労ね。」

奥様は広々とした田を見渡すと、軽く息を吸い込んだ。

小作の女房や娘達は、ただ奥様と令嬢だけに見とれていた。後にゾロゾロついて行きながら、着ているものが何かお互いに云い合った。が、北海道の奥地にいる小作の女達には、見たことも、触ったこともないものだった。柄のことでも同じだった。古くさい、ボロボロな婦人雑誌の写真でだけしか、そういう人のことは知っていなかった。――然し、何より「自分達の奥様」がこんなに立派な人だということが、皆の肩幅を広くさせた。

「馬鹿、お前からして見とれる奴があるか!」

伴が自分の女房の後を突いた。