Clásicos japoneses con furigana
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よげん
予言
久生 十蘭
Lee 予言 (よげん) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 14.000 caracteres · 27 pantallas
船へ帰ると、知世子は匆々に着換えてラウンジへ出て行ったので、安部はクロークの大トランクを開けてみると、果して、手紙はあの日のままスケッチ・ブックの間に挟まっていた。あの時は、笑ってすませられるようなものだったが、あらためて読みかえしてみると、とても、可笑しいなんていうだんではない。いつかの明けがた、知世子がふいに居なくなったこと、知世子が泥酔して帰ってくること、安部が食堂でみなの物笑いになること、ナポリでは魚料理へ行くが、その料亭の名は「チ・テレース」と、その日その時の情景や状況が、自身で日記をつけたように、いちいち仔細に書きつけてあるので憔れてしまった。
どういうお先走りな心霊が、こんな細かいことまで見ぬいてしまうのか。理窟はともかく、なにもかもみな的中しているのだから、どうしようもない。あの時の記憶では、十二月の何日かに、知世子と誰かを射ち殺し、じぶんもその拳銃で自殺すると書いてあった。今日までの毎日が、石黒の予言通りに運んで来たのなら、これからも、やはりそのように動いて行くと思わざるをえない。先を読んでみようと思うと、手紙は卵の城から帰ってきたところで無くなっている。