Clásicos japoneses con furigana
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にひゃくとおか
二百十日
Lee 二百十日 (にひゃくとおか) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 29.466 caracteres · 60 pantallas
と圭さんは、横から相手の顔を見た。
「人格にかかわるかね。人格にかかわるのは我慢するが、命にかかわっちゃ降参だ」
「まだあんな事を云っている。――じゃ姉さんに聞いて見るがいい。ねえ姉さん。あのくらい火が出たって、御山へは登れるんだろう」
「ねえい」
「大丈夫かい」と碌さんは下女の顔を覗き込む。
「ねえい。女でも登りますたい」
「女でも登っちゃ、男は是非登る訳かな。飛んだ事になったもんだ」
「ともかくも、あしたは六時に起きて……」
「もう分ったよ」
言い棄てて、部屋のなかに、ごろりと寝転んだ、碌さんの去ったあとに、圭さんは、黙然と、眉を軒げて、奈落から半空に向って、真直に立つ火の柱を見詰めていた。
四
「おいこれから曲がっていよいよ登るんだろう」と圭さんが振り返る。
「ここを曲がるかね」
「何でも突き当りに寺の石段が見えるから、門を這入らずに左へ廻れと教えたぜ」
「饂飩屋の爺さんがか」と碌さんはしきりに胸を撫で廻す。
「そうさ」
「あの爺さんが、何を云うか分ったもんじゃない」
「なぜ」
「なぜって、世の中に商売もあろうに、饂飩屋になるなんて、第一それからが不了簡だ」