Clásicos japoneses con furigana
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せんにん
仙人
Lee 仙人 (せんにん) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 5350 caracteres · 11 pantallas
折から、降りが、前よりもひどくなって、肩をすぼめて歩いていると、鼻の先からは、滴が垂れる。襟からは、水がはいる。途方に暮れていた際だから、李は、廟を見ると、慌てて、その軒下へかけこんだ。まず、顔の滴をはらう。それから、袖をしぼる。やっと、人心地がついた所で頭の上の扁額を見ると、それには、山神廟と云う三字があった。
入口の石段を、二三級上ると、扉が開いているので、中が見える。中は思ったよりも、まだ狭い。正面には、一尊の金甲山神が、蜘蛛の巣にとざされながら、ぼんやり日の暮を待っている。その右には、判官が一体、これは、誰に悪戯をされたのだか、首がない。左には、小鬼が一体、緑面朱髪で、獰な顔をしているが、これも生憎、鼻が虧けている。その前の、埃のつもった床に、積重ねてあるのは、紙銭であろう。これは、うす暗い中に、金紙や銀紙が、覚束なく光っているので、知れたのである。
李は、これだけ、見定めた所で、視線を、廟の中から外へ、転じようとした。すると丁度その途端に、紙銭の積んである中から、人間が一人出て来た。実際は、前からそこに蹲っていたのが、その時、始めて、うす暗いのに慣れた李の眼に、見えて来たのであろう。