Clásicos japoneses con furigana
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はくしゃくのかんざし
伯爵の釵
泉 鏡花
Lee 伯爵の釵 (はくしゃくのかんざし) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 19.403 caracteres · 39 pantallas
すべて旧藩侯の庭園だ、と言うにつけても、贈主なる貴公子の面影さえ浮ぶ、伯爵の鸚鵡を何としょう。
霊廟の土の瘧を落し、秘符の威徳の鬼を追うよう、たちどころに坊主の虫歯を癒したはさることながら、路々も悪臭さの消えないばかりか、口中の臭気は、次第に持つ手を伝って、袖にも移りそうに思われる。
紫玉は、樹の下に涼傘を畳んで、滝を斜めに視つつ、池の縁に低くいた。
滝は、旱にしかく骨なりといえども、巌には苔蒸し、壺は森を被いで蒼い。しかも巌がくれの裏に、どうどうと落ちたぎる水の音の凄じく響くのは、大樋を伏せて二重に城の用水を引いた、敵に対する要害で、地下を城の内濠に灌ぐと聞く、戦国の余残だそうである。
紫玉は釵を洗った。……艶なる女優の心を得た池の面は、萌黄の薄絹のごとく波を伸べつつ拭って、清めるばかりに見えたのに、取って黒髪に挿そうとすると、ちっと離したくらいでは、耳の辺へも寄せられぬ。鼻を衝いて、ツンと臭い。
「あ、」と声を立てたほどである。
雫を切ると、雫まで芬と臭う。たとえば貴重なる香水の薫の一滴の散るように、洗えば洗うほど流せば流すほど香が広がる。……二三度、四五度、繰返すうちに、指にも、手にも、果は指環の緑碧紅黄の珠玉の数にも、言いようのない悪臭が蒸れ掛るように思われたので。