Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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なにもの

何者

江戸川 乱歩

Lee 何者 (なにもの) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 38.449 caracteres · 77 pantallas

Aozora Bunko

その同じ瞬間に、父少将は、どうしたかというと、彼は不思議なことに息子の傷を見ようともせず、先ず第一に、部屋の隅にあった小金庫の前へ飛んで行って、文字盤を合わせて、扉を開き、その中を検べたのである。これを見て、私は妙に思った。この家に金庫があるさえ心得ぬに、手負いの息子を放って置いて、先ず財産を検べるなんて、軍人にもあるまじき仕草である。

やがて、少将の云いつけで、書生が警察と病院へ電話をかけた。

母夫人は気を失った結城君の身体にすがって、オロオロ声で名を呼んでいた。私はハンケチを出して、出血を止める為に、弘一君の足をしばってやった。弾丸が足首をむごたらしく射抜いていたのだ。志摩子さんは気を利かして、台所からコップに水を入れて持って来た。だが、妙なことには、彼女は夫人の様には悲しんでいない。椿事に驚いているばかりだ。どこやら冷淡な風が見える。彼女はいずれ弘一君と結婚するのだと思い込んでいた私は、それが何となく不思議に思われた。

併し不思議と云えば、金庫を検べた少将や、妙に冷淡な志摩子さんより、もっともっと不思議なことがあった。

それは結城家の下男の、常さんという老人のそぶりである。