Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
きずあとのはいけい
傷痕の背景
豊島 与志雄
Lee 傷痕の背景 (きずあとのはいけい) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 19.022 caracteres · 38 pantallas
その時、人々に取囲まれながら、有吉は、急に腿の傷口を押えて、椅子に倒れた……。
六
静かな、そよとの風もない、星の光の強い深夜だった。
杉本は古い洋服のまま、半身を机にもたせて、坐っていた。その額に、今まで見られなかった皺を刻んで……。口のあたりの頬が、かすかに震えていた。
「別れるのは、嫌だというのか。」
「…………」
無言で、英子は唇をかんでいた。頬の贅肉がいつもよりふくらみ、※(「臣+頁」、第4水準2-92-25)がいつもより尖って、自然の媚と我執との、ちぐはぐな顔付だった。
「僕たちは、互に、奴隷にはならなかった。それが、僕たちの夢の取柄だ。」
「夢……。」
「……じゃあない、といって、生活でも……。」
皮肉な色が、さっと彼女の眼に浮んだ。
「では、何……何なの?」
「何か……僕にも分らない。今になってみると、間違ってたようだ。」
「あなたは、後悔してるの?」
「いや、そんなことじゃない。君は、あの男に対する嫉妬心だけで、あんな狂気じみたことをしてしまった。嫉妬心の腹癒せ……そんな、ちっぽけな、個人的な心がいけなかったんだ。もっと怒るんだ、もっと、本当に、腹の底から、怒るとよかったんだ。