Clásicos japoneses con furigana
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やつがたけとざんき
八※[#小書き片仮名ガ]岳登山記
亀井 勝一郎
Lee 八※[#小書き片仮名ガ]岳登山記 (やつがたけとざんき) de 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 5639 caracteres · 12 pantallas
見上げると赤岳の頂上が巨大な巌石のようにそそり立っている。絶えず霧につつまれたが、その晴れ間には、巨大なこぶしのような阿弥陀岳があらわれる。その奇怪な姿は登っている私をおびやかすようである。周囲を見おろすと、脚下は数百メートル(?)とも思われる深い谷だ。しかも私は岩と岩のあいだを這いのぼってゆくのである。その岩が直立しているので、私の体は、半分宙に浮いているようなものだ。地球からはみ出したような感じだ。足を踏みすべらしたら、忽ち数百メートルの谷間へ落ちてしまう。
実は、こんな風に私が感じたのであって、それほどの難所ではないのかもしれない。第一はじめての私さえ、どうやら登れるのだから、自分ひとりで恐ろしがったのかもしれない。それに絶えず霧に襲われるので、それがすこしでも晴れかかってくると、脚下の谷は一層深くみえる。そのための恐怖もあったと思う。
堀内君や息子はとうに頂上に達して、上の方から私たちを呼んでいる。私と娘と黒田君が、のそのそと這い上ってゆく。ともあれ頂上は近いのだし、そこへ達したら、やれやれと草の上にでも寝ころんでと思って、勇をこして、遂に頂上に達したのは午後二時頃であったろうか。