Clásicos japoneses con furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lee 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 160.664 caracteres · 323 pantallas
「おお権九、ここを見るがいい」
云いながら松明を差し付けた。
氷雪に蔽われた絶壁の面に明瞭りそれとは解らないけれど、どうやら鑿ででも掘ったらしい一筋の道が付いている。絶壁を斜めに上の方へ向け階段型に付いている。
「ううむ」
と権九郎は唸り出した。この根気強い丹念仕事にすっかり感心したのであった。
「どうだ」と多四郎は気負った声で、「これでも俺を馬鹿にするか。……これは俺が拵えた道だ。おおかた半年もかかったろう。天狗の宮の真後ろまでこの崖道は続いている。いや随分苦労したよ。もうここまでやりとげれば後は的物を盗むだけだ」
「一言もねえ、感心した。そうだここまで捗が行けば後は的物を盗むだけだ」
「名に負うそいつが重いと来ている」
「一万両の金目だからの」
「ところで俺は蒲柳の質だ」
「いや飛んだ銀流しよ」
「そこでお前を見立てたのよ」
「これじゃまるで据え膳だ、出来上がったところでさあ一口か」
「厭か」
「何んの」
「では承知か」
「是非片棒かつぎやしょう」
ドッとまたもや山上から賑やかな笑い声が聞こえて来た。
「あれだ、あれだよ、あの笑い声だよ、俺達にとっての福音はね」
「はてね、俺には解らねえ」