Clásicos japoneses con furigana
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わかれのじ
別れの辞
豊島 与志雄
Lee 別れの辞 (わかれのじ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 18.330 caracteres · 37 pantallas
おけいのことも、君には分ってる筈だ。」
「それでは……静葉さんはどうです。」
殆んど憎悪に近い調子だった。然し島村はびくともしなかった。
「それは僕が知ってる。君には分るまい。」
暫く黙々として歩いてから、島村は云った。
「穢い……その一言でつきる。だから僕は別れの言葉を云ってやるんだ。僕の別れの言葉は、ただ侮蔑だけだ。」
宮崎は悪寒をでも覚えるように、身を震わした。
「別れの言葉を云うだけの力を持つことだ。言葉はなんだっていい。君自身の言葉を一つ探し出せば、それでいいんだ。」
「然し、それがみな幻影だったとしたら……。あなたたちのことは僕は知らない。だが、世の中は穢いものであり、穢い中にこそ本当の人間性があるのだとしたら……どうなるんです。個人主義の理想主義は一種の眼鏡にすぎないとしたら……。」
「君の云うのはよく分る。然しそれは自分の船を焼き捨てない前のことだ。一度船を焼いてからは、個人主義だの、理想主義だの、そんなところにうろついてることは出来ない。もっと切端つまった戦だ。現実と云うものは、見て取られるものではない、戦い取るべきものだ。それが出来なかったら、死ぬより外はないだろう。