Clásicos japoneses con furigana
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かご
加護
宮本 百合子
Lee 加護 (かご) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 16.147 caracteres · 33 pantallas
妹が死んだとなっては、さすがに棄てても置けまいという風に、常は冷酷な兄の、卑しい大きな顔も見える。
然し、お幾は、それ等に、適当な弔みを云うことさえも忘れた。
こんなことがあり得るだろうか。こんなことが、あってよいものだろうか。
膝で進んで顔被いをとり、さほど面変りもしない友の容貌を見守ると、始めて彼女の眼からは、とめどない涙が流れ出した。
相変らず女らしい形よい額つき、つつましさそのもののような眉。道ばたで死のうとし、最後に何が彼女の心に閃めいたのか、色のない唇には、実に綺麗な、しかも、ぞっとするほど神秘的な微笑のかげが差しているではないか。
名を呼ぶにはあまり悲しく、礼をするにはあまりなつかしく、お幾は声をあげて泣きながら、額を、細い友の手にすりつけた。
逆さまにかけられた黒縮緬の裾模様からは、ほのかに樟脳の香が立ちまよう。
皮膚から心までしみ徹すような冷たさと、涙の熱さを感じながら、お幾は、心の裡で、最後の友愛を友に誓った。若しお恵さんに、一言口を利くことが出来たら、彼女は、どれほど、独りの娘のことを云うだろう。どんなに痛わしがり、不幸な縁を歎くだろう。