Clásicos japoneses con furigana
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かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
Lee 勝ち運負け運 (かちうんまけうん) de 佐々木 邦 (ささきくに) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 119.262 caracteres · 243 pantallas
菊太郎君は素より覚悟の上だから油断がない。突然僕の鼻に食いついた。僕は悲鳴を揚げた。鼻も急所らしい。咬まれていると動きが取れない。店員が駈けつけて引き分けてくれなかったら、僕は鼻を食い取られてしまったかも知れない。歯跡が残って、血が出ていた。
これが覚えている中の大喧嘩だった。母親が大変に憤った。
「今まで病気という病気を移した上に余りですよ。もう黙っちゃいられません」
と言って、お隣りへ談じに行く身支度をしたところへ、菊太郎君のお母さんが菊太郎君を引っ張って、あやまりに来た。子供同志のことですからと母親は直ぐ和いだのみならず、
「お隣りの奥さんは矢っ張り道理の分った人ですよ」
と後から褒めていた。しかし僕は堪忍出来なかった。翌朝、菊太郎君が遊ぶ積りでやって来た時、
「僕はこれからお医者さんへ行って注射をして貰うんだよ」
と言って断ってやった。
「何の注射だい?」
「狂犬病の注射だよ」
「ふうむ」
と菊太郎君は目を白黒させた。
しかし仲よしだし、夏休みのことだったから、そう長く絶交していられなかった。間もなく又遊びはじめた。菊太郎君は気が咎めたと見えて、頻りに僕の御機嫌を取った。