Clásicos japoneses con furigana
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しょうぶごと
勝負事
菊池 寛
Lee 勝負事 (しょうぶごと) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 3952 caracteres · 8 pantallas
そんな時は、若い時に打った五百両千両という大賭博の時に、うまく起きてくれた賽ころの目のことでも、思い出していたのでしょう。
それでも、改心をしてからは、さすがに二度とふたたび勝負事はしなかったのです。もし、したことがあったならば、それはただ一度、次にお話しするような時だけだろうとのことです。
それは、何でも祖父が死ぬ三月ぐらい前のことです。秋の小春日和の午後に、私の母が働いている祖父に、お八つの茶を持って行ったことがあるのです。見ると、稲を刈った後の田を、鋤き返しているはずの祖父の姿が見えないのです。多分田の向うの藁堆の陰で、日向ぼっこをしているのだろうと思って、その方へ行ってみますと、果して祖父の声がきこえてくるのです。
『今度は、俺が勝ちだ』と、いいながら祖父は声高く笑ったそうです。その声をきくと私の母は、はっと胸を打たれたそうです。きっと、古い賭博打ちの仲間が来て、祖父を唆して何かの勝負をしているに違いない、と思うと、手も足も付けられなかった祖父の、昔の生活が頭の中に浮んできて、ぞっと身が震うほど、情なく思ったそうです。せっかく慎んでいてくれたのにと思うと、いったい父を誘った相手は、どこのどいつだろうと、そっと足音を忍ばせて近づいてみたそうです。