Clásicos japoneses con furigana
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じゅういちやぎさぶろうをかたる
十一谷義三郎を語る
豊島 与志雄
Lee 十一谷義三郎を語る (じゅういちやぎさぶろうをかたる) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 4959 caracteres · 10 pantallas
古証文、手紙の断片、種々の受取書、いろんな日付や品物の覚え書、そうしたつまらない反故るいの中から、作中人物の実生活を探り出そうとしていた。恐らく、「唐人お吉」に関するものが最も多かったろう。砂中に黄金の粒を探す者のような眼付で、十一谷君は古い反故るいをかきまわしたことであろう。
そのようにして、碁や麻雀はとにかく、反故の中に埋まり、茶をすすり、バットをやたらにふかして、余り外出もせず書斎に閉じ籠ってる十一谷君の健康を、親しい者たちは早くから心配していたのだった。私もその一人で、対抗療法として酒をすすめてやれと思ったのだが、それは遂に失敗に終った。六七年前のこと、銀座裏に、十一谷君がそこのお上さんをよく知ってる関西流の小料理屋があり、私が石川欣一君を通じてそこのマダムをよく知ってるバーがあって、どちらにも私は何度か十一谷君を引張っていった。また、私の酒飲み相手の芸妓が、今は物故しているが十一谷君を知ってる叔父をもっていて、その叔父を通じて十一谷君と面識があったので、私はその芸妓と飲む時には屡々十一谷君を連れだした。然しいずれの場合にも、十一谷君は余り杯を重ねず、面白いのか面白くないのかさっぱり分らない様子で、ただ笑顔を示すきりだった。