Clásicos japoneses con furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Lee 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 81.668 caracteres · 164 pantallas
畠の周囲には地梨も多い。黄に熟したやつは草の中に隠れていても、直ぐと私達の眼についた。尤も、あの実は私達にはめずらしくも無かったが。
主人は又、山火事の恐しいことや、火に追われて死んだ人のことを話した。これから一里ばかり上ったところに、炭焼小屋があって、今は椚の木炭を焼いているという話もした。
この山番のある尾の石は、高峰と称える場所の一部とか。尾の石から菱野の湯までは十町ばかりで、毎日入湯に通うことも出来るという。菱野と聞いて、私は以前家へ子守に来ていた娘のことを思出した。あの田舎娘の村は菱野だから。
土地案内を知った体操教師の御蔭で、めずらしいところを見た。こうした山の中は、めったに私なぞの来られる場所では無い。一度私は歴史の教師と連立ってここよりもっと高い位置にある番小屋に泊ったことも有る。
彼処はまだ開墾したばかりで、ここほど林が深くなかった。
別れを告げて尾の石を離れる前に、もう一度私達は番小屋の見える方を振返った。白樺なぞの混った木立の中に、小屋へ通う細い坂道、岡の上の樹木、それから小屋の屋根なぞが見えた。
白樺の幹は何処の林にあっても眼につくやつだが、あの山桜を丸くしたような葉の中には最早美しく黄ばんだのも混っていた。