Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lee 南国太平記 (なんごくたいへいき) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 493.291 caracteres · 991 pantallas

Aozora Bunko

義観を討ち洩らした口惜しさ、それを妨げた小太郎への憤りが、身体中を、焔のように、駈け廻っていた。父、牧仲太郎の、悪い、黒い血だけが、月丸の血管に、流れているようであった。

「降りぬか」

「お前、わしを、斬りたいのか」

義観が、笑った。

「もう、貴様などに、用はない。小太郎っ、卑怯者っ。七瀬も、わしが、殺したぞ」

「月丸」

と、小太郎が、叫んだ。だが、そう叫んだまま、黙ってしまった。

(本当か? わしを、憤らせて、誘い出す手か?――よし、本当にしろ、義観のいった生死のこと――あのことを、もっと、考えて――)

南玉が

「困った方で、ござりますな」

と、いって、箒を持って、敷居のところへ出て来た。

「よし、降りて参らぬなら、それへ、参るぞ」

月丸は、窪地の、草の中から、歩き出して来た。

「拙者対手仕ります」

小太郎が、義観にいった。義観が、南玉に、手を出して

「箒」

と、いった。そして、箒を手にして、縁側へ出ると、ずかずかと、低い、崖から、登って来る月丸の顔へ

「猿」

と、叫ぶと、ぱっと、砂を、浴せた。砂は、生物のように、義観の心のままに、月丸の顔へ、当って、散った。

「うぬっ」