Clásicos japoneses con furigana
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なんきょくき
南極記
久生 十蘭
Lee 南極記 (なんきょくき) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 17.753 caracteres · 35 pantallas
と思った。この相会はあまりにも唐突であった。なにか愕然と人を搏つものがあって、われともなく取乱したが、しかしほどなく冷理にたちかえった。ここには「ロス海の悪魔」だの「エレブス山の妖精」だのという奇体な幽霊がたくさんいて、いろいろなあやかしをやってみせるが、この辺は、時には零下八十二度(一九三四年七月二十一日、南緯八十度〇八分における記録)まで下る、想像に絶した八寒地獄の登り路で、沼地の水垢をつくる藻類と遠いつながりのあるコレスロンという微生植物しか生棲しえないことを知っている。この大陸の内奥には、人間の智慧では解けないような、どういう不可知な現象が隠されていようとも、百万年の劫を経た不壊の氷の上に黒土で養われる植物が生きているというような奇怪な「実在」は考えられもしなかった。プリンクの悪戯か、視覚の障害か、たぶんどっちかだろうと思ったが、それにしても、風に洗われるように、たえずゆらゆらとゆらめいているのがふしぎである……それは火焔木の花でなどなかった。二米ほどの竹竿の上でひるがえっている日本の国旗なので、その下で目まぐるしくめぐりめぐってやまぬのは、赤ペンキを塗った三角形のブリキの標識板であった。