Clásicos japoneses con furigana
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らんとうばのてんにょ
卵塔場の天女
泉 鏡花
Lee 卵塔場の天女 (らんとうばのてんにょ) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 47.251 caracteres · 94 pantallas
……
「姉さん、これは夏場、この川通へ出る夜店そっくりだね。」
八郎の家は、すぐこの近所だったそうである。
「たった一度だったが、姉さんと一所に歩行いた――」
「ほんとうね、……夢のようだけれど、植木屋の花の中から見た所かしら、そして月夜のようだよ。」
真中に手がついて、見ると、四角な釣瓶に似て、しかも影燈籠の意匠らしい。
「ちょっと欲いなあ。」
「欲いの?」
「うむ。」
「欲いものはお買いなさいよ。」
「値がどうも。」
「聞いてみましょうか。……私もちっと持っている。」
「串戯じゃあない。まだ給金も受取らないし、手が出せないと極りが悪いや。」
「八さんは、それだから可厭さ、聞くだけ聞くのに、何構うもんですかね。」
八郎はその時十歩ばかり遁げるようにしたのに、お悦はずんずん入った。少し手間取ったが、胸を反らして出て来た。
莞爾している。
「どうでした。」
「幾干らだと思う。――お思いなすって、槙村先生。」
「さあ。」
「分らない。」
「五百円。」
「ええ。」
「……モ、七百円もするんですが、うしろにちょっと疵があります、緋目高一疋ほど。ほほほ、ですから、ただそれだけで――百円という処を……だわね、……もっとも諸侯道具ですって、それをお負け申して……九十円。